NETFLIXにて配信されている「とんでもカオス!:アストロワールド2021」を見ました。

アストロワールドとはHIP HOPシーンを語る上で欠かせないトップランカー、Travis Scottが2018年にリリースしたアルバム「ASTROWORLD」のこと。
彼の出身地、ヒューストンにかつて存在したテーマパーク名から名付けられた当アルバムは全米アルバムチャートはもちろん1位(カナダやオーストラリアなど他の多くの国でも1位獲得)の他収録曲"SICKO MODE"はトラヴィス初の全米NO.1ソングになり、この曲はビルボードの2010年代チャートでも16位にランクインしたとのこと。
そんなTravis Scottの評価を確たるものとしたアルバム名をちなんで開催された「アストロワールドフェスティバル」が2018年より地元ヒューストンにて開催。
もちろんTravis Scottをヘッドライナーに、HIP HOPを中心とした豪華ラインナップで2018年、翌年2019年と成功させ2020年のコロナパンデミックキャンセルを挟んで2021年2年ぶりに規模を拡大させて開催!、、、、されたのですが、、
初の2日間開催にグレードアップしたアストロワールドフェスは二日目が当日中止、前日にはフェスの会場だったはずが「事件現場」として封鎖、徹底的に現場検証される事態に。
大勢が詰め寄ったTravis Scottのステージにて、群衆の圧迫によりライブ当日に8名、結果的に10名が亡くなるという大事故が起こってしまった。
前置きが長くなりましたが、このドキュメンタリー映画はこの事件の生存者、スタッフ、救急隊員などから当時の様子をインタビューし、事件に関しての原因やその後の影響、残された遺族や友達への想いについて赤裸々にまとめたもの。
このドキュメンタリーについてのレビュー記事ではないので、詳しく内容は書きません(ネトフリ入っている人は是非自分の目で見て欲しい作品だし)が、ライブ、特にフェスが好きでよく行く自分にとっては明日は我が身のようにも感じたし、何より楽しいはずのライブでこんな悲劇的なことが起きていたことにショックでした。
いや、2021年当時この事件は日本でもそこそこ大きなニュースで取り上げられていたのを覚えているし、この事件後しばらくトラヴィスの目立った音楽活動も休止していたので、もちろんこの事件のことは知っていたのですが実際現場にいた人の話や映像はあまりに生々しすぎる。
"人"が企画して、"人"が集まって、"人"の圧縮で亡くなっているんで「人災」なのは間違い無いんだけど、このイベントを企画した天下のLIVE NATIONの杜撰過ぎるイベントの運営の仕方がこの悲劇を産んだ、防げていた事件のように思えてやるせない。
このドキュメンタリーではトラヴィスのライブ前後の時間帯くらいにスポットを当てられていましたが、そもそもヘッドライナーが出る前の早い時間帯から、警備の数も追いついていなくバリケードを突破して会場内に侵入してくる人や、暴徒化した人が発生して多数の怪我人が出ていたらしい。
まずそんな状況で呑気にフェスを続行させていたのが危機管理なんてあったもんじゃないし、トラヴィスのステージではスタート直後から興奮した群衆による圧縮で倒れる人が続出していたそうですが、途中トラヴィス本人が倒れている人を発見して音をストップさせた以外は一切中断させることなくフルセットでステージを終えてしまった。
ドキュメンタリーでは、必死にライブを止めるようスタッフに伝えていた青年や、瀕死の男性を救った看護実習生の女性などこのような状況で勇敢に人命のために働く若者の様子も伝えらましたが、最終的には上記のごとく計10名の命を落として最悪の形で幕を閉じることとなった。
観客の何人もがライブを止めるように声を上げていたそうでしたが、イヤモニをしたトラヴィスには伝わらなかったらしく、ライブを中断させる権限のない現場スタッフが主催の上の方に状況を伝えても、トラヴィスには「ゲストとの演奏でライブを終えるように」という見当違いの情報しかライブ中は伝わっていなかったそうだ。
(ただ翌日にインスタ?に投稿したトラヴィスの謝罪動画、あれは駄目だわ批判されて然るべき)
状況が最悪の状況の中ステージに現れた、何も知らないゲストのDrakeにちょっと笑ってしまいましたが。
会場のキャパシティを遥かに超えてチケット販売(+不法侵入者)をしていたり、会場がパニックになるからと人命を優先せずにライブを続けていたLive Nationに1番の責任があるのはもちろんだけど、あまりに観客も自分勝手で他者への思いやりがなさすぎるなと思った。
人の皮を被った動物じゃあるまいし、少し考えればどうなるかくらいわかると思うんだが、、
自分も今まで何度もモッシュの経験はあるけど、もし誰か倒れたりしたら皆自然とスペースを作って立たせてあげる光景を何度も見てきたし、自分も近くで大勢を崩した人を引っ張って起こした経験もある。
大人数が集まるライブはお客さん一人一人の思いやりで成り立っているんだなって実感しますね。
数万人が他者のリスペクトを忘れてしまった時、そしてその群を統率する能力が運営になかった時にこのような悲劇が起きてしまった。
今年の11月、Travis Scottの待望の来日公演がベルーナドームで開催されます。
企画はLive Nation Japan。
先日のタイラーや来月開催されるBAD HOPのYZERR主催のFORCE FES(Future、Central Ceeなどが出演)もそうですが、今年は現行のメインストリームのトップどころの来日公演が多くてHIP HOP好きにはたまらないですね。
自分もチケット買いました。
万に一つも日本ではアストロワールドフェスのようなことは起こらないでしょうが、危険な行動や禁止されている行動をとって周りの人に迷惑をかけたり怪我させてしまう恐れは十分にあります。
他者に思いやりを持って、思いっきりに暴れて楽しみましょう!
本公演のガイドラインはこちら
最後にアウトロワールドフェスで亡くなられた10名の犠牲者のご冥福を改めてお祈りすると共に、2度とこのようなことがないように業界全体が変わっていくことを祈っています。
