羊文学の初の武道館公演に行ってきました。
まあすっかり人気バンドとなった彼女たちにとって武道館のライブは今更感ありますけどね。
もっと横アリとか大きいところで単独公演やっているし。
それでもあの歴史と伝統ある武道館の舞台に立つというのは、バンドとして箔がつくものだし個人的にも久しぶりに行く武道館(2018年のThe Killersの単独公演以来かな)楽しみだった。
何より今回のライブはとてもタイミングがいい。
なぜかといえば、記念すべき2年ぶりのニューアルバム「Don't Laugh It Off」がライブ前日の10月8日にリリースしたから。
この記事はライブレポートですが、簡単に新譜の感想を述べるとするならば羊文学のアルバムで一番スルメアルバムだった。
聞くたびに味が出るスルメに擬えた表現ですが、今までのアルバムと乖離した音楽性なわけではないんですけど、ピアノやチェロ、打ち込みを使用した曲やディストーションの効いたグランジや90'sのオルタナロックを彷彿とさせる楽曲があったりと新たな試みも聞かせてくれて、それをうまく羊文学の音楽として昇華させている。
メロディーも今まで以上に通して何度も聴いてこのアルバムの世界観に浸りたくなる曲が多くて、特に後半の流れが良い。
1日しか予習の時間はありませんでしたが、とりあえず通して5、6回は聴いてライブに臨む。
いやあまさかのアリーナ席。
そもそも武道館の公演に今まで2回しかいったことがありませんでしたが、アリーナでライブを観れるのは初。これだけでテンションあがる。
定刻を少し過ぎ、いよいよライブスタートです。
今回は初めからステージを覆い隠す薄い暗幕のようなものはなく、最新作の1曲目"そのとき"から静かにスタート。
この曲、今までのアルバムのオープニングトラックと比べると少し雰囲気が違う気がしますが、初聴きで良いと思った曲だな。
ステージサイドあるに大型のスクリーンにバンドが映って始まった"Feel"ではあまりに盛り上がらないことで知られる羊文学のファンですが早速腕を上げて楽しんでいる人が多かった。
目が悪い私でもギリ肉眼でバンドの表情見える距離でしたが、大型スクリーン(しかもスクリーンの目の前の位置)があるとより鮮明に楽しそうに演奏している表情が見れていいね。
演奏も本当に良くなっている。音もクリアに聞こえる。武道館って音良かったんだね。
"電波の街"、"Addiction"と旧譜からの曲が続く。
"Addiction"イントロ、ボーカルの君塚モエカがステージの前の方まで出てきてノリノリで弾いていたのが印象的。
すっかりライブの定番で人気曲の一つとなったこの曲、疾走感もあって会場も盛り上がりました。
再び新譜から"いとおしい日々"。
彼女たちもまだそこまでライブで披露していない曲だと思いますが、グルーヴもあってとてもかっこいい。元々良かったですが、さらに新譜が好きになる演奏だ。
こちらも新譜から"声"は先行でリリースしていた曲ですが、フジロックでは聞けなかったので生で聞けて感激です。
8曲目終了でようやくMCを挟みましたが、短く終了したので非常にテンポもいい。
"ランナー"は新譜でも屈指の疾走感のある曲。
ステージ上に吊り下げている円形のトラスがUFOのように降りてきて、照明が美しかった
"OOPARTS"はフジロックの時とおそらく同じアレンジ、ですがフジの時よりもだいぶ良くなっている気がした。この曲こそ羊文学で一番ライブで化ける曲だな。
このままノンストップで"mother"に繋げる。
「Powers」からの楽曲が個人的に無条件でアガりました。
"Burning"は昨年の夏にリリースされたので、新譜からではありますけどすでに何度もライブで披露されている曲ですが、こちらも過去1音がいい意味で凶暴な気がして一番カッコよかった。
"more than words"であらに会場を盛り上げた後に、優しくキャッチーなメロディーが印象的な"mild days"も良かったな。
リリース当初のライブでは、ベースの河西ゆりかがオーディエンスが声を出すタイミングを一緒に練習していましたが、もうそんな必要もなくなったこちらも定番曲"GO!!!"。
サポートドラマーのユナさんも含めて、みんな笑顔で演奏していたのが印象的だった。
"未来地図2025"は打ち込みも取り入れた今までの羊文学とは一味違う曲に最初聞いた時はイマイチハマれませんでしたが、ライブすごいいいですね。原曲も好きになる。
アンコール前の最後は"砂漠のきみへ"。
この曲、羊文学を初めてみたフジロック2021で特に印象に残った曲で、とても大好きな曲なんですがここしばらく演奏されていなかったのでまさかここで聴けるなんて思いもよらなくて感動したな。
アウトロのパートがめちゃくちゃ気持ちいんですよねこの曲。
アンコールは新譜から"春の嵐"、そして名曲の"光るとき"。
新たなモードに突入した羊文学を存分に堪能できた110分のライブでした。
いやあ、感動した。
間違いなく自分が今まで見た羊文学の単独公演の中で一番良かったし、個人的に過去最高だった去年のLIVE AZUMAのライブに匹敵するライブだった。
今年のフジロックがそうでもなかったからあまり期待値高くなかったんですけど、本当によかったよ。
少なくとも演奏面だけなら間違いなく過去一だった。
まあその反面、翌日10/10の武道館公演もセトリは変わっていなかったようだし、よく単独公演でやっていた初期のレア曲披露もなかったから逆に仕上げすぎている感もありましたが、MCも減らして演奏に集中しベストなパフォーマンスを披露してくれてもう言う事はないです。
これからヨーロッパツアーとのことですが、またパワーアップして日本のオーディエンスに素晴らしいライブを届けてほしい。今回披露しなかった新譜の曲ももっともっと聴きたいな。